「ダニング・クルーガー効果」「できない人」の多くが「自己評価が高い」ワケ

心理学者のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーは、学生たちに実験をしました。ユーモアのセンスや論理思考を問う問題を出し、それぞれ自己評価してもらいました。

その後に、「あなたのレベルは、同世代の人と比較して、どのあたりのポジションにあると思いますか」と尋ねたのです。

結果として、成績が悪い学生ほど自分の順位を高く見積もりました。成績が良い学生は正しく、もしくはわずかに低く見積もる傾向がありました。このバイアスを発見者の名前を取って「ダニング・クルーガー効果」と呼びます。「優越の錯覚」ともいいます。2000年のイグノーベル賞を受賞した心理法則です。

さらにふたりは、「なぜ能力の低い人間は自身を素晴らしいと思い込むのか」も調べました。

その結果、能力が低い人間には、「自身の能力が不足していることを認識できない」「自身の能力の不十分さの程度を認識できない」「他者の能力を正確に推定できない」という特徴があることがわかりました。

つまり、自身の評価が過大になるか過小になるかは、自己能力を客観視する能力である「メタ認知」のあり方と関係することが指摘されたのです。能力が低い人は、自分を客観的に見る力がなく、だからこそ能力が低いともいえます。

一方で、能力が高い人はメタ認知を使って自分を俯瞰することができます。先ほどの学生の実験の例では成績が良い人は「自分ができた課題くらい、他人もできるだろう」と推測したので、自分の順位を低く見積もるのです。

「できない人」の多くが「自己評価が高い」ワケ…ほとんどの人間はスティーブ・ジョブズにはなれない

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