人間の記憶の不思議さ。   (慶應義塾大学名誉教授)今井むつみ『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』 (日経プレミアシリーズ) 新書 2025年

『100万回生きたねこ』は、100万回死んでいる

脆弱なのは視覚情報に関する記憶だけではありません。言語情報も同じです。

『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』(福井県立図書館編著、講談社文庫)という楽しい本があります。これは福井県立図書館の司書さんたちが、利用者の「書名の覚え違い」を集めた本です。利用者さんは本を探す際に司書さんに、

「『100万回死んだねこ』貸してください。」

と言うわけですね。

ただ、このときに利用者さんの言うタイトルが、よく間違っているのです。『100万回死んだねこ』のほんとうのタイトルは、『100万回生きたねこ』(佐野洋子作・絵、講談社)です。

「100万回死んだねこ」に自動変換される脳の不思議

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